シングルマザーとの結婚に対して、「やめとけ」と忠告されることがあります。その背景には、経済面の不安や子育ての難しさなど様々な懸念が挙げられます。しかし一方で、シングルマザーと結婚して幸せな家庭を築いているカップルも少なくありません。
本記事では、シングルマザーとの結婚をやめたほうがいいと言われる主な理由5つを解説し、その根拠と背景を探ります。さらに、幸せな結婚をするためのポイントや考え方についても考えてみましょう。
シングルマザーと結婚するのはやめとけと言われる5つの理由
では、なぜシングルマザーとの結婚は「やめとけ」と言われがちなのでしょうか。
ここからは、よく挙げられる5つの理由について具体的に見ていきます。
理由1:経済的負担が大きい
第1に、シングルマザーは一人で子どもを養っているため、家計に余裕がないケースが多いとされています。実際、日本ではひとり親世帯の相対的貧困率が約50%にのぼり、OECD加盟国中ワースト5位という非常に高い水準です。

収入面でも、シングルマザーの多くは非正規雇用で平均年収が133万円程度と低く、十分な貯蓄が難しい現状があります。こうした経済状況の中で子どもの養育費や教育費を賄うのは簡単ではありません。
当然、結婚すればその負担を配偶者も一緒に背負うことになります。子どもの成長に伴い学費や生活費も増えていくため、「金銭的な苦労が絶えないのではないか」という不安から、シングルマザーとの結婚はやめた方がいいと言われるのです。
理由2:子どもとの関係が難しい
第2に、血の繋がらない子どもとの親子関係を築くことは、簡単なことではありません。
シングルマザーには前のパートナーとの子どもがいるため、再婚相手となる人は、その子どもから「新しいお父さん」として受け入れてもらう必要があります。
しかし、子どもにとっては急な環境変化に戸惑ったり、実父への想いや複雑な感情を抱えたりすることもあり、心を開いてもらうには時間と根気が必要です。
こうした子どもとの関係構築の難しさから、「他人の子どもを愛するのは大変だ」としてシングルマザーとの結婚を敬遠する声があるのです。
無理をして「お父さん」や「お母さん」になる必要はありません。大切なことは親としての立場を築くのではなく、子どもから信頼されることです。そのためにできることを必死でやる姿勢が試されるという意味では、決して楽なことではないでしょう。
理由3:元旦那との関係が面倒
第3に、シングルマザーの場合、子どもの実父である元旦那との関係を無視できないという問題があります。離婚後も子どもと実父が面会交流を続けている場合、再婚後の家庭に元旦那の存在が入り込む形になります。
たとえば、子どもの送迎や行事で顔を合わせたり、養育費や進学について連絡を取り合ったりと、元配偶者との調整ごとが生じる可能性があります。そのため「前の旦那との付き合いが面倒だ」という懸念につながります。
また、一方で元旦那が子どもや母親に全く関与しないケースでは、養育費など経済的支援が期待できず新たな家庭の負担が増えます。厚生労働省の調査によれば、シングルマザーの母親で現在も養育費を受け取っている人は約24%に過ぎず、過去も含め「一度も受け取ったことがない」人が半数以上にのぼります。
このように、元旦那との関係はあってもなくても問題を孕みやすく、その煩雑さから「シングルマザーはやめとけ」という声が上がるのです。
理由4:結婚と同時に子育てが始まる
第4に、シングルマザーと結婚すると、独身時代のような自由な生活は難しくなるとも言われます。結婚と同時に子育てが始まるため、自分たち夫婦の時間や自分自身の趣味・交友に割ける時間が制限されがちです。
子どもの生活リズムに合わせた暮らしとなり、夜遅くまで外出したり突発的な旅行に出かけたりといった独身時代の延長のような行動は難しくなるでしょう。厚生労働省の調査では、子育て中の親の約6割が「自分の自由な時間がもてない」と感じていることが報告されています。
このように、自分の時間や夫婦だけの時間が減ってしまう現実があるため、「結婚すると自由がなくなる」と懸念材料に挙げられるのです。とはいえ、いずれ子育てのタイミングを迎えるケースが多いことを考えれば、これだけをもって結婚のリスクとは言い難いかもしれません。
理由5:世間体が悪い
第5に、世間の偏見や周囲からの反対も、シングルマザーとの結婚をためらわせる理由の一つです。特に初婚の男性が相手だと、「初婚なのにもったいない」といった心無い言葉をかけられるケースがあります。
残念ながら、日本社会では、離婚歴のある女性や子連れ再婚に対して根強い偏見が残っている側面も否めません。ある婚活サービスの調査でも、「バツイチやシングルマザーでも結婚相手として考えられる」と答えた人は全体の約42%にとどまり、多くは消極的な姿勢を示しました。

親や親族から「苦労するからやめておけ」と猛反対されるケースも実際にあり、周囲の理解を得られないことが当事者の大きな悩みになることもあります。このように世間体を気にしたり周囲からの反対を恐れたりするあまり、「シングルマザーとの結婚なんてやめておいた方がいい」という声が出てしまうのです。
シングルマザーと幸せな結婚をするために考えるポイント
ここまで、シングルマザーとの結婚に対する否定的な意見とその理由を見てきました。しかし、シングルマザーだからといって必ずしも結婚生活が不幸になるわけではありません。
現に、そうした困難を乗り越えて幸せな家庭を築いている夫婦も数多く存在します。では、シングルマザーと結婚して幸せになるためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。ここからは、そのために考慮したい3つのポイントについて解説します。
ポイント1:子どもの気持ちを最優先に考える
シングルマザーにとって子どもは生活の中心であり、再婚後も子どもの幸せが最優先です。新しいパートナーもまずそのことを理解する必要があります。子どもの心情を理解し尊重することが何より大切です。
いきなり「お父さん」になろうと張り切るよりも、時間をかけて子どもの信頼を得ることに努めましょう。具体的には、子どものペースに合わせて距離を縮め、一緒に遊んだり話を聞いたりする中で少しずつ関係を築いていくことが効果的です。
子どもからすれば、新しい家族に戸惑いや不安を感じるのは当然です。その気持ちに寄り添い、「あなたのことを大切に思っている」という姿勢を示すことで、子どもも次第に心を開いてくれるでしょう。
ポイント2:将来を見据えて経済計画を立てる
金銭的な不安は、事前の計画と話し合いで大きく軽減できます。結婚を見据えた段階で、お互いの収入・支出や貯蓄状況をオープンにし、家計をどう管理するかを話し合っておきましょう。
子どもの教育費や生活費、将来の進学費用など、大まかなライフプランを立てておくことも重要です。専門家も、子連れ再婚では経済面の準備が欠かせないと指摘しています。二人で家計を支え合う体制を整えれば、シングルマザーが一人で抱えていた時よりも経済的な余裕が生まれる可能性があります。
公的支援制度(児童扶養手当など)の活用も含め、将来を見据えた堅実なマネープランを共有しておくことで、金銭面のトラブルを防ぎ安心して暮らすことができるでしょう。
ポイント3:信頼関係を築く
シングルマザーとの結婚を成功させるには、夫婦となる二人の強固な信頼関係が欠かせません。再婚には子育てや元配偶者との対応など考慮すべき事項が多いため、事前にしっかりと話し合っておくことが重要です。
例えば、子育ての方針や継父としての役割分担、子どものしつけ方について意見をすり合わせておきましょう。また、元旦那との連絡や付き合い方についても、お互いが納得できるルールを決めておくと安心です。何か不安や不満があれば遠慮せず伝え合い、問題を共有して解決する姿勢を持つことが大切です。
二人の絆がしっかりしていれば、周囲の反対や偏見に対しても協力して立ち向かうことができます。お互いを思いやり、チームとして支え合うことで、困難も乗り越えていけるでしょう。
シングルマザーだから後悔するわけではない
「シングルマザーとの結婚は後悔する」と考える人もいますが、それは偏った見方です。結婚生活の満足度は相手がシングルマザーかどうかではなく、二人の相性と努力次第で決まります。実際、シングルマザーと再婚して幸せになっている例は数多く存在します。
ある男性は友人から「子連れはやめとけ」と反対されたものの、それでも結婚し、今では「あのとき諦めなくて本当に良かった」と語っています。彼はシングルマザーの妻とそのお子さんたちと家族になり、日々の幸せを実感しているそうです。

シングルマザーは過去の経験から強さや思いやりを身につけている人も多く、パートナーや家庭のありがたみを深く理解しています。そうした前向きな面に目を向け、お互いを支え合えば、シングルマザーとの結婚だからといって必要以上に心配する必要はありません。大切なのは、お互いを尊重し合い、愛情と信頼を持って家庭を築くことなのです。
まとめ:幸せに暮らしている家庭もたくさんある
シングルマザーとの結婚には確かに様々な課題がありますが、それは不幸になることを意味しません。日本には現在120万世帯を超えるひとり親家庭が存在し、結婚するカップルの4組に1組以上は再婚だというデータもあります。
つまり、子連れ再婚やステップファミリーはもはや特別珍しいものではなく、多くの家庭が現実にその形で暮らしています。そして、その中には周囲の偏見や困難を乗り越えて、笑顔で幸せに暮らしている家族がたくさんあるのです。
大事なのは、「シングルマザーだから」と先入観で判断するのではなく、目の前の相手と子どもをどれだけ大切に思い合えるかです。お互いに支え合い、理解し合う努力を続ければ、どんな家族の形であれ温かな家庭を築くことができます。
世間の声に左右されすぎず、自分たちの幸せの形を見つけていきましょう。シングルマザーとの結婚を選んだ先輩夫婦たちも、今ではかけがえのない家族の絆を育みながら幸せに暮らしています。あなたの家庭もきっと、その一つになれるはずです。
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