キラキラネームでいじめられる可能性はある?対処法や過去の事例を紹介

キラキラネームでいじめられる可能性はある?対処法や過去の事例を紹介

キラキラネームとは、読み方や漢字が一般的でない珍しい名前のことです。最近では個性的な名前が増えていますが、一方で「名前が原因でいじめられるのでは?」と不安に感じる親御さんもいるでしょう。実際、キラキラネームが理由でいじめに遭うケースは存在します。

本記事では、キラキラネームでいじめられる可能性とその原因、もしもの時の対処法、そして過去の具体的な事例をご紹介します。大切なお子さんを守るために、経験・専門性・信頼性の観点から正確な情報と対応策をまとめました。

目次

キラキラネームが理由でいじめられる可能性はある

結論から言えば、キラキラネームが理由でいじめられる可能性は確かにあります。もちろん全ての子どもがそうなるわけではありませんが、実際に名前が原因でつらい思いをしている人もいます。

ある司法書士相談サイトのアンケートによると、自分の名前がキラキラネームだと答えた人の5人に1人以上(20.7%)が「名前が原因でいじめられた経験がある」と回答しています。

この数字は決して無視できるものではありません。また、親御さんを対象にした同様の調査でも、「子どもがキラキラネームを理由にいじめられたことがある」と答えた人が14.2%いました。子ども本人の回答より割合は低いものの、これは親が気づいていないだけで、子どもが名前を理由にいじめられているケースがあることを示唆しています。

さらに、名前そのものへの嘲笑やからかいによって日常生活に支障を来すほど悩んでいるという相談も実際に寄せられています。例えば、「珍しい名前のせいで自己紹介のたびに好奇の目で見られ、年上の生徒に名前を馬鹿にされたり、受付で小馬鹿にした対応をされることが度々あり、名前を名乗るのが怖く恥ずかしい」という深刻な声もあります。このように、キラキラネームが原因で肩身の狭い思いをし、ひどい場合はいじめの標的になる可能性があるのです。

キラキラネームでいじめが起きるのはなぜ?

キラキラネームを理由にしたいじめには、いくつかの典型的な原因・背景があります。ここからは主な理由を3つ説明します。

理由1:名前が目立ちすぎてからかわれやすい

子ども社会では、周囲と違う特徴を持つ子がいじめの標的になりやすい傾向があります。キラキラネームは珍しく目立つため、クラスで名前が一人だけ浮いてしまい、好奇の的になってしまうことがあります。

実際、難読・奇抜な名前は読みに混乱を来したり嘲笑やいじめの対象になったりする場合があると指摘されています。たとえば、ある方は小学校でクラス名簿の中で自分だけ名前がひらがな(特殊な表記)だったことで「周りと違う」と強く意識し、中学でそれがいじめに発展したと証言しています。

このように、極端に目立つ名前は子どもの集団で好奇心やからかいの対象となり、いじめにつながりやすいのです。

また、キラキラネームの子ども本人にとっても、自分の名前への周囲の視線は大きなストレスになります。名前が珍しいばかりに毎回注目を浴び、「なんでそんな名前なの?」と質問攻めにあったり笑われたりすれば、子どもは羞恥心を感じます。その結果、名前に対する自信を失い萎縮してしまうと、さらにいじめっ子につけ込まれやすくなる悪循環も考えられます。

理由2:名前の読みや意味をネタにしたいじめ

キラキラネームの場合、名前の読み方や意味そのものがいじられる材料にされてしまうことがあります。読みが難しかったり、意味と漢字がかけ離れているような名前だと、面白半分にからかわれることがあるのです。

実際に、「常用外の読み方をするキラキラネームだったために子どもの頃に名前をもじったいじめを受け、つらい思いをした」という当事者の声があります。例えば、本来「ひろし」と読む漢字を「ジョン」と読ませるような名前や、「太郎」と書いて「マイケル」と読ませるような極端なケースでは、周囲も戸惑い、そのギャップを面白がってしまう子もいるでしょう。

また、名前の意味合いを逆手にとった揶揄も見られます。例えば、実際に「はっぴぃ(幸福)」という名前の男性が、「お前全然“ハッピー”そうじゃないな」などと言われていじめられたケースがあります。他にも、「光冠(ころな)」という名前の子が「まるでペットの名前みたい」「ウイルスみたいだ」と笑われ、コロナ禍ではいっそういじめの対象になってしまったという報告もあります。

このように名前の持つ響きや連想をからかいの種にされ、本人を傷つける言葉として投げつけられることがあるのです。

理由3:キラキラネームに対する偏見や先入観

社会全体において、キラキラネームには少なからず否定的な偏見が存在します。「奇抜すぎる名前は親のエゴではないか」「非常識だ」という声も根強く、子ども同士だけでなく大人からも冷ややかな目で見られる場合があります。そうした社会的風潮が子どもにも伝播し、いじめの一因になることがあります。

事実、近年キラキラネームを制限する法改正が議論された際、約82.2%もの人が賛成と回答しています。多くの人がキラキラネームを問題視していることの表れであり、名前に対する世間の厳しい視線を示しています。こうした中で子どもが珍しい名前を持っていると、「変な名前」「親が非常識なんだ」などと偏見を持たれ、いじめにつながるリスクがあるのです。

実際に、純粋な日本人なのにハーフと勘違いされるようなカタカナ風の名前の女性は、新しい学校やコミュニティで「なんだ日本人か」とがっかりされたり、「キラキラネームだよね」と心ない言葉を投げかけられ深く傷ついたと証言しています。

また、幼少期に名前をからかわれ続けた結果、大人になってからも人前で名乗るのが恥ずかしくなってしまったという当事者もいます。このように、世間の偏見が本人の自己評価を下げ、自信喪失や対人不安を引き起こすことで、さらにいじめを受けやすい状況を生んでしまう側面も否めません。

キラキラネームでいじめられた時の対処法

大切なお子さんが名前を理由にいじめられてしまった場合、親として胸が痛むと同時に「どう対処すれば良いのか」と悩まれることでしょう。ここからは、具体的な対処法を3つ紹介します。状況に応じて適切な方法を選び、子どもをいじめから守る参考にしてください。

方法1:戸籍名を改名する

思い切って名前自体を変えてしまうことも一つの対処法です。戸籍上の名前(本名)を変更するには家庭裁判所の許可が必要ですが、いじめに遭っている事実など「正当な事由」があれば改名が認められる可能性があります。

実際、キラキラネームが原因で社会生活に支障が出ている場合には、戸籍法107条の2に基づき家庭裁判所の許可を得て改名手続きを行うことができると法律上も定められています。

過去には、「王子様」という名前の18歳の高校生が家庭裁判所の許可を得て「肇(はじめ)」に改名したケースが大きく報道され話題になりました。このように、一定の条件を満たせば子どもでも改名が可能です。戸籍名の変更手続きには時間と労力がかかりますが、名前が原因のいじめから解放され、本人の将来のために安心できる名前を取り戻すという大きなメリットがあります。

改名を検討する場合、なるべく若いうちの方が家庭裁判所の許可も下りやすいと言われます。司法書士の助言によれば、子どもの将来を考えて改名するなら大学入学や社会人になる前など早めの時期に手続きを済ませておくと、その後の新生活をスムーズに始められるかもしれないとのことです。改名は最終手段かもしれませんが、お子さんの心の負担を軽減し人生を前向きに歩ませるための有効な選択肢の一つです。

方法2:転校・引っ越しで環境を変える

物理的に環境を変えることも検討に値します。いじめが起きている学校や地域から離れることで、加害者との接点を断ち、子どもが安心して生活できる環境を取り戻すことができます。転校は決して「逃げ」ではなく、本来の平穏な暮らしを取り戻す前向きな行動です。

実際、深刻ないじめ被害に遭った子どもの中には転校を余儀なくされたいじめ事案も存在します。新しい学校に移れば、少なくとも今現在いじめを行っている子どもたちとは離れられます。特に名前を変えることが難しい場合でも、学校を変えることで周囲全体をリセットし、子どもがのびのび過ごせる状況を作り出す効果が期待できます。

もっとも、転校や引っ越しには経済的・心理的コストも伴いますし、新しい環境に必ずしも馴染める保証はありません。そのため、子どもと十分に話し合い、「なぜ引っ越すのか」「新しい場所でどうやって再スタートするか」を一緒に考えることが大切です。

方法3:学校や専門機関に相談する

いじめ問題は、一人(家庭)で抱え込まず周囲に助けを求めることが重要です。まずは学校の担任の先生やスクールカウンセラーに速やかに相談しましょう。学校は「いじめ防止対策推進法」に基づきいじめへの対応義務がありますし、早期に知らせることで対処がしやすくなります。先生方に事実を共有し、加害児童への指導やクラス環境の改善を依頼することが第一歩です。

しかし、中には学校の対応が十分でないケースもあります。そのような場合は、教育委員会や外部の専門機関に相談することも有効です。文部科学省では、24時間子供SOSダイヤル(フリーダイヤル:0120-0-78310)を設置しており、夜間・休日を含めいつでもいじめに関する相談を受け付けています。

この窓口では専門の相談員が対応し、いじめへの具体的な対処法についてアドバイスを求めることが可能です。電話だけでなくSNSで相談できる体制や、各地域の相談窓口の紹介も行われているため、利用しやすい方法で悩みを打ち明けることができます。

キラキラネームを理由にいじめられた過去の事例

実際に、キラキラネームが原因でいじめや苦しい経験をした人たちの事例をいくつかご紹介します。

名前が原因で生きづらさ・いじめを経験した事例 実際のケース

※ ご提示のエピソードを整理し、PCでは解説をワイドに確保、スマホではカード型で表示します。

ケース名 要旨 解説 参考
寺内はっぴぃさん(仮名) ひらがな名ゆえに小中学校で揶揄、成人後も就活などで不利。 小学校低学年から名前の表記に違和感を抱き、中学で「全然ハッピーそうじゃないな」といじめられる。短大入学式や就職活動でも笑いの対象となり、人生に影響。 times.abema.tv
「王子様」と名付けられた高校生 珍妙な名にコンプレックスを抱き、家庭裁判所で改名。 18歳男子高校生が戸籍名「王子様(おうじさま)」を理由に改名申請。「社会生活上の支障」が認められ、「肇(はじめ)」に改名。ニュースが改名制度への関心を高めた。 osaka-everest.com
「光冠(ころな)」と名付けられた少女 時勢の変化で名前がいじめの原因に。 本来は珍しいが悪意のない名だったが、新型コロナ流行後に「ウイルスみたい」とからかわれいじめに発展。本人は苦痛を訴え、親も後悔を表明。 osaka-everest.com

これらの事例からも分かるように、キラキラネームが原因でいじめや社会的な生きづらさを感じた人は実在します。いずれのケースでも共通するのは、決して子ども本人に責任はないにもかかわらず、名前ゆえに不当な扱いを受けているという点です。こうした痛ましい経験を繰り返さないためにも、次章で述べるように「いじめる側が悪い」という大前提を社会全体で再確認し、必要な対策を講じることが重要です。

いじめる方が悪い

どのような理由があろうとも、いじめは決して許されず、悪いのはいじめる側です。このことを大人も子どももしっかり認識しておかなければなりません。文部科学省も公式に「どのような社会にあっても、いじめは許されない、いじめる側が悪いという明快な事実を毅然と示す必要がある」と強調しています。

つまり、名前が変わっているからといっていじめを正当化することなどあってはならず、責められるべきは相手をからかったり傷つけたりする加害者の方なのです。

時に周囲から「いじめられる側にも原因があるのでは?」と心ない言葉を投げかけられることがあります。しかし、決してそのような風潮に惑わされないでください。先の引っ越しに関する専門サイトでも「どう考えたって、ひとりを多人数でいじめる行為は、いじめる側が悪いに決まってます」とはっきり述べています。まさにその通りで、いじめは人権侵害であり犯罪にもなり得る重大な問題行為です。被害者が負い目を感じたり萎縮したりする必要は一切ありません。

親御さんはぜひお子さんに「あなたは何も悪くない」という強いメッセージを伝えてあげてください。そして学校や社会も、「いじめる側が100%悪い」という毅然とした姿勢を示し続けることが大切です。名前のせいでいじめられている子がいたら、周囲の大人は速やかにそれを止め、加害児童に対して厳正に指導する責任があります。いじめは決して被害児童の自己責任ではない──この当たり前の原則を改めて共有し、子どもたちが安心して学校生活を送れる環境づくりに努めましょう。

まとめ:改名するのも一案

キラキラネームといじめの問題について、可能性や原因、対処法を見てきました。珍しい名前を付けること自体は親御さんの愛情や個性の表現ですが、残念ながら現実には名前が理由でいじめの標的になるリスクが存在します

その背景には、子ども社会の同調圧力や名前への偏見など様々な要因がありました。いざ自分の子がいじめに遭ってしまった場合、決して一人で悩まず、ここで紹介したような対策を講じてください。

特に大事なのは、「いじめる方が悪い」という揺るがぬ前提を忘れないことです。被害に遭ったお子さんの心に寄り添い、自尊心を守りつつ、必要に応じて学校・専門機関・法的手段を総動員して問題解決に当たりましょう。場合によっては転校など環境を変える勇気も持ってください。

それは決して敗北ではなく、お子さんの未来を守るための前向きな一歩です。

そして最後に、改名も選択肢の一つであることを覚えておいてください。名前はアイデンティティの重要な部分ですが、だからこそ本人が苦しんでいるなら変えてあげることも愛情です。日本の法律では正当な理由があれば名前の変更が認められます。

「名前を変えるなんて大げさかな…」と迷う必要はありません。お子さんがこれから先、いじめに怯えずのびのびと人生を歩んでいけるのであれば、改名は決して大げさどころか有力な解決策です。実際に若いうちに改名し、新しい名前で新生活を始めた方もいるのです。

参考文献

  • osaka-everest.comosaka-everest.com氏名変更相談センター「キラキラネームが理由でいじめられる割合は?」 – キラキラネーム当事者へのアンケート結果
  • osaka-everest.comosaka-everest.comosaka-everest.com氏名変更相談センター「キラキラネームの相談内容・体験談」 – キラキラネームに悩む人からの具体的な相談例
  • higashimachi.jp弁護士法人東町法律事務所 コラム「キラキラネームと名の変更」 – キラキラネームが社会生活上支障となる場合の法的措置(戸籍法107条の2)
  • otonanswer.jpotonanswer.jpオトナンサー「キラキラネーム制限の法改正に関する意識調査結果」 – 世間のキラキラネームへの見方と当事者のコメント
  • times.abema.tvABEMA TIMES「キラキラネームのリアル」 – 「はっぴぃ」という名の当事者が語るいじめ被害と生きづらさ
  • ben54.jp弁護士JP「教育委員会が動いてくれない場合の相談先」 – 文部科学省の24時間子どもSOSダイヤル等、公的相談窓口の紹介
  • mext.go.jp文部科学省「学校におけるいじめ問題に関する基本的認識」 – 「いじめは許されない、いじめる側が悪い」という公式見解
  • hikkoshi-faq.com引越しFAQ「いじめの解決策としての引越しはあり?なし?」 – いじめ問題に対する一般向けQ&Aサイトの記述(いじめる側が悪いことの強調)
  • osaka-everest.comosaka-everest.com氏名変更相談センター「キラキラネームを改名するには?」 – 改名が認められた実例(「王子様」改名)と改名手続きのポイント
  • hikkoshi-faq.com引越しFAQ「いじめの解決策としての引越しはあり?なし?」 – いじめから逃れるための引っ越しを前向きに捉えるべきとの記述
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本記事の監修者

森本 恭平のアバター 森本 恭平 運営者

東北大学法学研究科(公共法政策専攻)修了。幼少期は母子家庭で育った。東日本国際大学・福島復興創世研究所の准教授を経て、現在はデジタルマーケティング✖︎AIを専門にフリーランスとして複数の企業でアドバイザーを務めている。KADOKAWAドワンゴ情報工科学院、バンタンクリエイターアカデミーの講師。福島県総合計画審議委員会の審議員を歴任。

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