タイムツリー(TimeTree)は、スケジュールを家族や友人と共有できる便利なカレンダーアプリです。家族間で予定を共有すれば、紙のカレンダーを回覧したり口頭で確認したりする手間が省け、コミュニケーションもスムーズになります。
しかし一方で、「情報が漏れてしまわないか?」「プライバシーは大丈夫か?」といった安全面への不安を感じる方もいるでしょう。この記事では、タイムツリーの基本と考えられる3つの危険性を挙げ、その根拠と実例を示しながら解説します。
タイムツリーとは?
タイムツリーは、全世界で5,500万人以上が利用登録している人気のスケジュール管理・共有アプリです。スマートフォンだけでなくパソコンからもアクセスでき、家族・恋人・友人・同僚など最大200人まで同じカレンダーを共有できます。
予定ごとにコメントを付けたり写真を添付したりするチャット機能もあり、スケジュール調整と同時に情報共有が可能です。基本機能は無料で利用でき、有料版にすればPDFなどのファイル添付にも対応します。
運営会社は東京・新宿に本社を置く株式会社TimeTreeで、サービスは厳重なセキュリティ体制のもと運営されています。ユーザーの個人情報が本人の同意なく第三者へ提供されたり、運営側に悪用されたりすることはありません。
その意味では、タイムツリー自体は信頼性の高い安全なアプリと言えます。ただし、便利な反面で使い方を誤ると情報漏洩などのリスクが生じる可能性があるため、正しい使い方への注意が必要です。次章では、タイムツリー利用時に特に気を付けたい3つのポイント(危険性)について解説します。
タイムツリーの危険性
タイムツリーにはどんな危険性があるのでしょうか。ここから、タイムツリー利用時に注意すべき3つのリスクについて、それぞれ具体例を交えて説明します。
その1:位置情報が他人に知られるリスク
「タイムツリーを使うと現在地が相手にバレるのでは?」という心配の声があります。しかし結論として、タイムツリーには位置情報を自動共有する機能はありません。公式ヘルプでも、以下のように明示されています。
TimeTreeに位置情報を共有する機能はありません
カレンダーを共有しても位置情報がわかることはありませんのでご安心してお使いいただけます
Timetree公式サイトより引用
ただし、ユーザー自身の入力次第で位置情報が伝わってしまうケースも考えられます。例えば、予定のタイトルやメモに具体的な場所を書き込んだり、予定に地図リンクを添付した場合、その予定を見た相手にはあなたの行動範囲が知られてしまいます。
一度予定を登録すると即座に共有メンバー全員に通知が届くため、たとえ後で削除しても相手には内容が見えてしまう可能性があるのです。つまり、位置情報そのものは自動では漏れないものの、自分で書いた場所情報が広まるリスクはゼロではありません。
さらに、タイムツリーでは写真の共有機能もありますが、写真データには撮影場所などの位置情報(GPS座標)が含まれている場合があります。もし位置情報付きの写真をタイムツリー上で共有すると、その写真の撮影場所から自宅や学校などが第三者に推測される恐れがあります。
位置情報そのものはタイムツリーから勝手に漏れることはありませんが、利用者が入力・共有する内容によっては自身の居場所や行動範囲が他人に伝わってしまう危険性がある点に注意しましょう。
その2:共有ミスによる情報漏洩の危険
タイムツリー最大の利点は複数人で予定を共有できることですが、この共有機能の使い方を誤ると情報漏洩に繋がる危険があります。具体的には、以下のようなケースに注意が必要です。
本来見せるべきでない相手にカレンダーを共有してしまうケースです。タイムツリーでは家族用・仕事用など複数の共有カレンダーを用途別に作れますが、投稿先のカレンダーを間違えると、プライベートな予定が意図せず他人に見られてしまうリスクがあります。
例えば、家族だけで見るつもりの予定を誤って社内共有のカレンダーに書き込んでしまうと、上司や同僚に個人的な予定が知られてしまうかもしれません。一度投稿するとすぐメンバーに通知が飛ぶため、気付いて削除した時には既に内容を見られている可能性もあります。
また、タイムツリーではカレンダーをリンク経由で共有できますが、そのリンクをSNSやブログで誰でも見られる形で公開してしまうと、不特定多数に予定を見られるリスクが生じます。実際、タイムツリーに限らずGoogleカレンダー等でも、設定を誤って公開範囲を「インターネット上の全員」にしてしまい、個人情報が漏れた事例があります。家族の予定に第三者がアクセスできる状態は非常に危険です。
極端な例では、SNS上で知り合った見ず知らずの人に安易にカレンダー共有に招待され参加してしまうと、その相手があなたの行動パターンを把握したり個人情報を特定したりする危険性もあります。頻繁に通う場所や留守にする時間帯が知られれば、ストーカー被害や空き巣被害に繋がる可能性すらゼロではありません。
その3:写真共有で個人情報が漏れる恐れ
タイムツリーでは予定ごとに写真を添付して思い出を共有したり、情報をやり取りしたりできます。しかし、写真の共有にもプライバシー上のリスクがあります。前述した通り、写真ファイルには撮影場所や日時などのExif(エグジフ)データが含まれている場合があります。
スマホのGPS機能がオンの状態で撮った写真には緯度経度の位置情報が埋め込まれることが多く、写真を通じて撮影者の居場所が第三者に伝わる可能性があります。
例えば、家の中で撮影した子どもの写真をタイムツリーに共有した場合、写真に埋め込まれた座標データから自宅の正確な場所を割り出されてしまうリスクがあります。警視庁も「自宅で撮影した写真をインターネット上に公開すると、自宅が特定されてしまうこともある」として、位置情報付き写真の取扱いに注意を呼びかけています。タイムツリーはクローズドなグループ内の共有が前提ですが、それでも万一共有範囲が想定より広がった場合には同様の懸念があります。
家族で実践すべきタイムツリーの安全な使い方
以上のようなリスクを踏まえれば、タイムツリーを安全に使うためには設定や使い方に工夫が必要です。ここからは、家族でタイムツリーを利用する際に実践すべき3つの安全対策を紹介します。日頃から少し意識するだけでリスクを大幅に減らせますので、ぜひ家族全員で確認してみてください。
その1:信頼できる家族だけで限定共有し、不審な招待は拒否する
家族向けアプリとしてタイムツリーを使うなら、カレンダーの共有範囲は家族や親しい知人のみに限定するのが基本です。不特定多数や面識のない人を共有メンバーに含めるべきではありません。先述のように、見知らぬ人と予定を共有できてしまう仕組みは便利な反面リスクがあります。特にSNS上で届く招待URLなどは安易に開かず、本当に知っている相手からの招待か確認しましょう。
また、家族用のカレンダーの招待リンクをうっかりインターネット上に公開してしまわないよう注意が必要です。万一リンクが流出すると、本人の知らないところで第三者が参加申請できてしまう可能性があります。家族カレンダーのURLは第三者に教えない・SNSに載せないことを徹底してください。
タイムツリー側でも、全体公開のカレンダーや見知らぬ人からの招待には警告を出すなどの対策はありますが、最終的な安全性はユーザーの判断に委ねられます。「共有する相手は信頼できる人だけ」という原則を家族間で共有し、怪しい招待は断るようにしましょう。
その2:共有前に宛先と内容を確認し、カレンダーを使い分ける
タイムツリーを安全に使う上でもっとも重要なのは、「うっかり共有ミス」を防ぐことです。家族で複数のカレンダーを運用している場合、予定を登録する前に今自分がどのカレンダーに書き込もうとしているか必ず確認しましょう。
アプリ画面左上に現在開いているカレンダー名が表示されますので、投稿前に宛先(共有メンバー)を再チェックする習慣をつけてください。共有先さえ間違えなければ、基本的に情報が漏れる心配はありません。投稿時の確認とカレンダーの使い分けによって、「見せるべきでない人に情報が届いてしまう」事故を防ぐことができます。
その3:プライバシー保護の設定を徹底し、デバイスの安全を確保する
最後に、タイムツリーおよび利用端末の設定面で押さえておくべきポイントをまとめます。プライバシーを守るために、以下の対策を必ず実践しましょう。
- 写真の位置情報設定をオフにする: タイムツリーでは、2023年以降、写真に含まれる位置情報を共有するオプションが追加されています。家族以外も含めてカレンダーを共有する場合や、不特定多数が参加する公開カレンダーを利用する場合は、事前にアプリ設定で「写真に位置情報を含める」機能を無効にしておくことを強くおすすめします。共有した写真に自宅周辺や職場などの情報が記録されていると、プライバシー侵害やストーカー被害につながる可能性もあるためです。
- 表示名や公開情報に配慮する: タイムツリーではアカウント作成時に設定した名前が共有相手に表示されます。初期設定で本名を登録しているとそのまま他のユーザーに見えてしまうため、必要に応じてニックネームやイニシャルに変更すると良いでしょう。特に、家族以外のメンバーと共有するカレンダーでは、フルネームや住所など個人を特定できる情報は入力しないのが無難です。
- スマートフォン本体に必ずロックをかける: 前述のようにタイムツリーのアプリ自体にはロック機能がありません。したがって、お使いのスマホやタブレットに画面ロックを設定し、第三者に直接端末を操作されないようにすることが極めて重要です。とりわけ、家族で端末を共有している場合やお子さんが端末を扱う場合は、ロック設定を徹底しましょう。
- 不要になったデータは完全に削除する: 家族の状況が変わってタイムツリーを使わなくなったり、共有カレンダーから誰かが抜けたりする場合は、アカウントやカレンダー情報をきちんと削除しておくことも大切です。タイムツリーはアプリをアンインストールしただけではデータがサーバー上に残る仕組みです。自分の予定や写真が過去のカレンダー内に残ったままだと、将来何らかの形で情報が漏れるリスクもゼロではありません。アプリ内の「退会してアカウント削除」を実行し、必要に応じて共有していた予定や添付ファイルも消去してから退会するようにしましょう。家族で使っていたカレンダーを削除する際も同様に、退出前に個人情報を含むデータが残っていないか確認すると安心です。
まとめ:プライバシーを守ることを心がけよう
タイムツリーは正しく使えば決して危険なアプリではなく、むしろ家族間の連絡や予定調整を円滑にする強力なツールです。タイムツリー自体のセキュリティは十分に信頼できるものです。残るリスクの多くはユーザー側の使い方に起因します。
家族でタイムツリーを利用する際は、本記事で紹介した危険性への対策をぜひ実践してください。具体的には、共有範囲の管理(家族など信頼できる人だけに限定する)、共有時の確認徹底(投稿先カレンダーと内容をよく確認する)、プライバシー設定の最適化(写真の位置情報オフや端末ロックの活用)などが重要です。それぞれ難しい操作ではなく、少し意識するだけで効果がある対策ばかりです。
大切なのは、「自分たちのプライバシーは自分たちで守る」という心がけです。便利さに油断せず、家族皆で情報管理の意識を共有しましょう。幸いタイムツリーは定期的に安全性を高めるアップデートも行われており、ユーザー側が正しく使う限り高い安全性を維持できます。ぜひ賢くタイムツリーを活用して、家族のプライバシーを守りながら快適で安心なスケジュール管理を実現してください。
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